終活の「老人ホーム」問題の想定と準備はできてますか?

  • 2021.11.23
  • 2021.11.23

「私は独身なので、お金が全然かかりません。今後も特に 結婚をする予定もありません。」

収入の全てを、自分のためだけに費やすことができる「独身貴族」の方々。配偶者もいない、当然、後継者もいない。一見すると、悠々自適な人生に見えるかもしれませんが。そんな「独身貴族」でも、僕のような年齢になってくるとそろそろ考え始めざるをえないことがあるはずです。それは、終活の「老人ホーム」費用です。

10年で3,300万かかる「老人ホーム」

孔明「「老人ホーム」費用って 貯めているのですか?」

N川「え?まだ準備していません。」

Mシー「老人ホーム・・・(汗)」

「要介護3(※業界用語)」の方が、東京都で介護付き有料老人ホームで過ごす場合の費用。10年間の合計支出はなんと平均値で3,300万になるとのことです。

  • 入居一時金:500万
  • 月額:25万

この場合、入居1年目に、「入居一時金500万」と「月額12ヶ月分で780万」。入居2年目以降は、年間280万の支出となります。この場合は、ある程度貯金のある方で無いと支払いは難しくなりますし。何よりも、後継者も、後見人もいない「独身貴族」の場合は、初年度も、継続費用も、全て自力で支払い続けなければなりません。

心身共に、老化しているから、「要介護3」になっているので。このタイミングで新たに「ビジネスでお金を稼ぐ」などと言っても、もう既に「時遅し」となるわけです。

人間である限り、誰しもに訪れる「老後問題」。これは本来、家族持ちでも「独身貴族」でも、関係なく考えるべき問題ですが。「独身貴族」の場合は特に、100%自分だけでなんとかすることが求められますので。

独身貴族「あなたたち家族持ちと違って僕たちは僕たちのことだけ考えてれば良いので人生お気楽なのですよ!」というふうに、安易に考えるわけにはいかない日が必ず訪れてしまう。

自分の老後の面倒を見てくれる人が誰もいないことになるので。老化によって心身の調子が悪くなった時には、かなり早期の内から、「老人ホーム」のお世話になる必要性が出てくるかもしれません。

50代まで、「独身貴族」を謳歌されて来られた、N川さんとMシーと共に、「老人ホーム」問題について語り合っていましたが。電卓で叩きながら計算してみると、老後を快適に過ごそうとすると、かなり膨大な費用がかかってしまうことを。改めて認識するに至ったわけです。

「老人ホーム」にも公立と私立がある

日本は各種制度が充実しています。僕たちの学生時代に通学していた学校も。公立と私立がありました。年収の高い、お金持ちな両親を持つ子どもたちは。学費が桁違いで高い私立にも行ける選択肢も持ちながら。公立に行くか、私立に行くか?どちらに進学するかを選択することができますが。

年収の低い貧乏な両親を持つ子どもたちは。基本、公立の道しか選択することができません。子どもたちとしては、お金次第で、行きたくても行けない道がある。。こういう現実を、かなり早期の内につきつけられるわけです。

その後、自分が社会人になった後で、家族を持った場合。まさに自分の年収水準によって。子どもたちが、公立しか選択できない状態なのか?子どもたちが、私立に通える選択肢のある上で公立と私立のどちらに通わせられるか選ぶことができる状態なのか?

住むところ、乗れる車、着れる服、食べれるもの・・・A〜Zライフスタイルの隅々に至るまで、選択する際には必ずお金、お金、お金・・・が求められるわけですが。この「お金」問題は、老後を迎えてお仕事を引退したら、終わり・・・というわけではなく。まさに老後の「老人ホーム」でも、公立と私立問題が、つきまとってくるわけなのです。

僕たちが長生きした場合将来的に入居するであろう「老人ホーム」でも、まるで学校のように、「公立(公的)」と「私立(民間)」があります。当然、公立であれば費用相場は安いですが。私立であれば、サービスの充実度によってピンきりです。一般的な「有料老人ホーム」の東京での平均値は・入居一時金:500万・月額:25万ですが。中には、高級な私立の「老人ホーム」もあります。

  • 入居一時費用が8,000万
  • 月額費用200万

などという選ばれた御方々だけが入居できる超高級「私立」もあるわけです。

Mシー「公立と私立。。。 老後までずっとついて まわるんですね。。」

N川「老人ホームの費用問題は 何歳で天に召されるか? 誰も分からないところが 怖いですね。。」

「特別養護老人ホーム」低料金だけど・・・

公立「老人ホーム」の代表格は「特別養護老人ホーム」でしょうか?在宅での生活が困難になった、要介護の高齢者が入居できる公的な「介護保険施設」の1つで。「特養」と呼称されています。私立「老人ホーム」に比べて低料金であることが魅力ですし、原則として終身にわたり入所できますが。「要介護3」以上の方しか入居できないなど、条件が厳しく設定されています。

特別養護老人ホームの入居条件

  • 65歳以上で要介護3以上の高齢者
  • 40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方
  • 特例により入居が認められた要介護1~2の方

また、「入居待機待ち」などがあり、入居までに時間が場合も多いようです。24時間の看護師配置が義務付けられていないため、施設側の体制によって夜間のたん吸引など、医療依存度の高い方の受け入れができない場合もあるようです。

「特別養護老人ホーム」提供サービス

  1. 1.食事
  2. 2.入浴
  3. 3.排泄
  4. 4.健康管理・緊急対応
  5. 5.リハビリ
  6. 6.生活支援
  7. 7.レクリエーション・イベント
  8. 8.看取り個室の場所もありますが、基本的には「多床室」を覚悟しなくてはならず。

この場合は、10人以下をひとつの生活単位(ユニット)として、台所、食堂、リビングなどの共有スペースを囲んでいる形です。天井との隙間がある稼働しないパーテーションなどで仕切られているだけで、完全な個室になっていません。

「特別養護老人ホーム」の部屋のタイプ・ユニット型個室(10人単位)・ユニット型準個室(10人単位)・完全個室・多床室(1部屋4人)ただし、公立の場合は、あくまでも公立なので、人間として生きるための必要最低限のクオリティしかありません。食事も出ますが、まるで公立小学校時代の給食のような形です。当然ながら、お金持ちの場合は、「老人ホーム」でも、公立を選ぶわけがなく。

「おとなの偏差値」が高くないと絶対に入居できない私立の「高級老人ホーム」に入居します。温もりあふれる心地よいエントランス。コンシェルジュサービス。シアタールーム。檜風呂。湯上がりラウンジ。個室理美容スペース。

眺めの良いレストランでこだわりの食事に舌鼓。体調に合った特別食にも対応。おしゃれなBARでお酒を嗜むことも可能。大人の家庭教師による講座や、習い事の数々。読書を堪能できるライブラリ。・・・と、終活のシーンにおいても、私立のお金持ちと公立の貧乏人と圧倒的な格差をつけられてしまうわけなのです。

誰しもに共通した「老人ホーム」問題

「独身貴族」を貫き通して、終活のシーンで、私立の「高級老人ホーム」に入居できるような状態になっていれば良いですが。貧乏な状態だとかなり悲惨な目にあってしまうようです。特別養護老人ホーム(特養)に入居するのは、条件がありますし、順番待ちのところが多数。

すると、私立(民間)でも格安を売りにしている「老人ホーム」に入居せざるをえなくなります。「費用を月10万以下に抑えたい・・・」というお年寄りたちやその家族たちのニーズに答えて。「私立」でも、月額わずか5万〜6万などの「老人ホーム」的な施設もあるようですが。貧乏人の弱みにつけこむような「劣悪老人施設」ばかりなようです。

ひどい施設では、経済的に困窮した老人たちを宿泊という形にすれば介護保険の対象外で、人員配置や設備に基準がなくなるので、名目を変えて。狭い部屋に雑魚寝状態に押し込めたり。4畳半の部屋に家具もベッドもなくおむつを入れるポリバケツが1個置いてある部屋に押し込めたり。法の規制を受けないような方法で老人たちを押し込める手段を使った劣悪な「脱法老人ホーム的施設」も格安私立では多数存在するようです。

安かろう、悪かろう、、、結局この状況は、「老人ホーム問題」でも続いてしまうわけなんですね。「独身貴族」を貫き通した末に、貧乏になってしまうと。それこそ、人間らしい終活はできない恐れがあります。部屋の中で孤独死するか?格安粗悪施設で押し込められるか?

「特別養護老人ホーム」になんとかたどり着けたら「天国」と言った、終活はどうなのでしょうかね?当然これは、「独身貴族」だけでなく、家族がいても後継者や後見人がいなかったり。子どもがいても教育に失敗して家族バラバラ・・・のようなことになると。全く同じ末路になります。

完全に動けなくなった後で、詰んでしまう・・・ということにならないように。僕たちのような、40代、50代組は、そろそろ真剣に、「老人ホーム」問題含めた「終活」も想定と準備をしないと・・・。かなり、暗いお話ですが。

僕たちが人間である限り、必ず年を取ってしまうわけで。「老人ホーム」問題も、避けられない問題なので、言語化させて頂きました。さて、あなたは想定と準備ができているでしょうか?