「定年退職金制度」が無くなる時代に生きるサラリーマン

  • 2023.12.17
  • 2023.12.17

上場企業勤務のエリートサラリーマンだったとしても油断できません。「定年退職金」をいくらもらえるのか?改めて確認してみて下さい。なぜなら、日本の大卒・定年退職者の退職金、平均退職給付額は、2003年に平均約2,500万ほどあったものが、2018年には平均約1780万ほどに。ここ15年ほどで、3割も減少しているからです。退職金が無くなった企業も全体の2割もあります。

仮に「定年退職金」を老後のあてにしていた状態で、「思ったよりも少なかった・・・」「退職金制度がなくなった・・・」となってしまうとしたら。定年後の生活設計が大きく崩れてしまいます。

定年後3年で1,000万が消滅

東証一部上場を3年前に定年退職したAさん(63歳)は、今は警備員として働いていて年収は180万程です。現役サラリーマン時代。定年後は、趣味や旅行を楽しみたいと漠然と考えていたようですが。現実は、目の前の生活で精一杯とのことです。

サラリーマン時代にはリストラ対象にならずに生き残り続けることができましたが。Aさんの「退職金」は、約1,500万でした。
・一時金として 退職時にまとめて振り込まれる1,000万
・今後分割して支払われる企業年金500万

期待していたよりも、少なかったとのことです。昭和の両親世代を見ていると定年後は悠々自適に暮らしていたので、「なんとかなるだろう・・・」と漠然と考えていただけだった。けれども、実際に定年退職を迎えて、手元を見たら、想像しているよりも、大分少なかった・・・。とのことです。

そこで改めて計算してみたら、どう考えてもこの先の生活費が足りなくなる。2人の子どもたちがいて4人家族だったAさんは、40代で住宅ローンを組んで自宅を購入。その時は、不動産会社から、「退職金でローン完済される方が多いですよ!定年後は家賃が無くなれば楽に過ごせますよ!」と言われたので、「なるほど!それは良い!」と即決したとのことです。

けれども、現実には、退職金でローンを一括返済すると、手元に残る貯金が消滅。生活そのものが、苦しくなるのが確定してしまっていることを知り。70歳まで、月10万以上のローンを支払い続けることにしたのです。

再び、就職活動を経て、働く覚悟を決めてすぐに行動を開始しましたが。企業数が多い東京エリアでさえ、どこをどう回っても、面接さえ受けらさせてもらえない。冬は暖房が効いて、夏は冷房が効くようなオフィスワーク的なお仕事は、ただの一社も、採用してくれるところはなかったとのこと。

サラリーマン時代に、上場企業で働いていたので、定年後も、それなりのホワイトワーカー的な職には就けるものだと考えていたけれども。考えが甘かった・・・。現実は想像以上に、過酷だったと、60歳になって気づくことができたけれど、既に時遅し。長時間に渡り肉体を酷使するブルーワーカーの警備員。退職後のたった3年間で、既に一時金としてもらった1,000万を取り崩すことになったとのことです。

あまりにも何も考えてないサラリーマン

個別面談を通して、40代、50代の現役サラリーマンと対話をする中で。「老後の生活設計」が、「どうしてそんなにいい加減なの?」と、驚かされてしまうことが多々あります。今はまだ、毎月のお給料が入り続けるから、入ってくる以上に散財しなければ、家族と共に生きることができると思います。

けれども、数年後〜十数年後・・・。「定年退職」を迎えたら、「退職金」が支払われた後、途端に毎月の安定・安心の給与収入は、ピタリと止まってしまうのです。その後の想定・準備が全くなされていないケースがあまりにも多いのです。

例えば、「定年後」・・・を想定すると、「独身貴族」であっても、持ち家アリで節約して生活をしても、毎月15万は必ずかかります。この場合、年間180万、90まで生きれたとして30年で5,400万。「夫婦」の場合は、同じく持ち家アリで節約して生活しても、毎月25万は必ずかかります。

この場合、年間300万、90まで生きれたとして30年で9,000万。この支出は、確定してしまいますし。この中には、突然の病気や怪我などでプラスアルファがかかることは一切計算に入れていません。給与収入が止まるのに、支出があり続ける。僕たちの老後には、年金などは期待できないと言われている。

すると、定年退職を迎えるまでの貯金額と。「退職金」の額が、どれだけあるのか?ここで既に、老後の「生活設計」が確定してしまうとも言えます。この際、複雑な計算は一切無く。小学生でも分かる、足し算、引き算、掛け算、割り算しかいりません。

そんな簡単な計算さえできない状態で、ただ目先のサラリーマンとしてのお仕事だけに没頭できるなんて。一体、どれだけ、楽観主義なのでしょうか?自営業者として生き残り続けている方々の中には、そんな甘い状態の方々はいないと思います。自分と家族の人生設計に対する、真剣さ、温度感のようなものが、根本的に異なることが分かります

「退職金制度」そのものが無くなる時代背景

一流大学を卒業して、一流企業に入社して、約38年間、定年退職まで勤め上げる。その頑張り続けたご褒美として、退職金をドカンともらって。定年後は、安心した生活ができるイメージ。僕の両親の世代は、まさにこれが「サラリーマンの黄金式」でした。

ところが、いつの間にか日本全体で、時代の変化と共に、この仕組は変わっていたのです。日本全体で、年々「退職金」は年を追うごとに激減しています。最近では、「退職金制度」そのものが無くなった企業も増えています。厚生労働省の調査では、既に退職金制度の無い企業は、全体のおよそ2割に上ります。

退職金は、給与や勤続年数などから、各企業が独自に算出するもの。昭和の時代は、企業が社員に長く働いてもらうインセンティブとして導入していたのですが。昭和から、平成、令和へと変わって行く中で。企業側も終身雇用が維持できなくなり。社員側も一つの会社に働き続けるということが厳しくなり。お互いに、「転職&中途採用」が一般化する形へと変化を遂げました。

すると、「退職金」の意味自体が薄れてしまったのです。グローバル化、IT・DX・A.I.化、コロナ禍などの突然の環境変化・・・目まぐるしく変わる業種業態の状況。企業側も生き残り続ける事自体が困難になり。退職金額を下げるだけにとどまること無く。「退職金」そのものを無くしてしまう企業が毎年増加傾向にあるわけです。

・年金も分からない
・退職金が激減かゼロ

そういう時代に生きる僕たちが。昭和の時代の両親たちの常識に基づいて、ノホホンとサラリーマンを続けていたら。エリートサラリーマンから、貧乏老人に一瞬に転落。。。という状況に陥るのは、明らかなわけです。既に今日時点でも・・・かつてのエリートサラリーマンたちが。

・定年退職を迎えて嘱託社員になって仕事は変わらないのに収入が半減。孫におもちゃを買ってあげることもできない。
・退職金が予想以上にわずかで、貯金もまともに無い中で、貯金を切り崩さざるを得ない。
・定年後に大病を患いイキナリ退職金が溶けてしまった。
・ホワイトワーカーから、定年後にブルーワーカーへ。雨風にさらされる系の過酷な長時間労働しているのに 月収はわずか。しかし毎月の生活費・固定費の支払いがあるので、仕事が辞められない・・・。

・・・と、「定年退職」を迎えて、わずか数年間で、詰んでしまっている方々が、数多くいるのです。これは、サラリーマンを続ける限り、他人事では無いのです。

彼ら、かつてのエリートサラリーマンでさえ、このような状況に陥ってしまっているのですから。40代、50代の内に、「定年退職後」を見据えた、本質的な意味での、「不労所得」の構築は、これからの必須事項と言えるかもしれません。

サラリーマンがゼロイチスタートでどのように「不労所得」を構築するのか?その全ては「不労所得の教科書」に凝縮されています。当然、早期に学び始め、取り組み始めたほうが、圧倒的に有利です。体育会の部活動などのスポーツでも。はじめたばかりの一年生と、5年〜10年継続的に取り組んで来た方々とでは圧倒的な格差が存在します。

しかも、年々年を取れば取るほどに、頭は頑固になるし、新しいことを学ぶことに抵抗感を覚えたり、怠け癖がひどくなるし・・・。けれども、言い訳を続けて、逃げ続けていたら。その通りの「老後」しか待ち受けていないのです。