「Society 5.0」を勝ち抜くための「育児・教育」方針とは?

  • 2022.12.22
  • 2022.12.22

今、僕たちはかつてなく大きな社会の変革期にいます。人類はこれまで、狩猟社会から農耕社会、工業社会を経て、現代の情報社会に至るまで、生産手段と社会構造の飛躍的な変化を経て社会を発展させて来ました。そして今、僕たちは人類社会における新たな社会である「Society5.0」の中に足を踏み入れています。

Society 1.0:狩猟社会
Society 2.0:農耕社会
Society 3.0:工業社会
Society 4.0:情報社会
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Society 5.0:新・現代社会「超スマート社会」

「Society5.0」では、人工知能(AI)、ビックデータ、Internet of Things(IoT)、ロボティクス等の先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会のあり方そのものが、非連続的と言えるほどに、劇的に変わりつつあります。

「超スマート社会」とも言われる「Society5.0」の到来によってまさに日々創出されている新たなサービスやビジネス。僕たちの生活は、劇的に便利で快適なものになっていくのを感じます。けれども一方で、このような人類が、これまで経験したことのない急激な変化に直面して、漠然とした不安の声も大きいです。

  • 生まれたときからAIに囲まれて育つと、人間の本質的な部分も変質するのでは?
  • プラットフォーマーは米国に独占され、日本経済は凋落してゆくのでは?
  • 日本国内においても、AIを使いこなす人と使われる人で大きな格差が生まれるのでは?
  • 進化したAIが人間の仕事の大部分を奪ってしまうのでは?
  • 学校教育を通して教わったことがすべて通用しなくなってしまうのでは?

人間としての強みはどこにあるのか?学びや仕事にどのように向かい合っていけば良いのか?このような本質的な問いが、改めて問われている中。「Society5.0」の時代に社会人として生きる、0歳〜18歳の僕たちの子どもたちに、促すべき「教育方針」そのものが、10年後、20年後における圧倒的格差を生み出してしまうことだけは確かだと思います。0歳〜18歳の英才教育コミュニティ『ワンチーム』でも、参加された両親によって、話し合われている部分でもあります。

「Society5.0」の社会構造

「将来お医者さんになりたい!」僕たちが生まれ育った時代であれば。医大に進学して、学部生6年間を経て、医師国家試験に合格して、初期研修2年間、専門診療研修3年間を経て。晴れてお医者さんとしての活動がスタートできるというセオリーがありました。

けれども、子どもたちが生きる「Society5.0」の中でのお医者さんとは。機械学習の技術の発展により急激な高度化が進んだAIが、「病気を診る」行為を行い。お医者さんは「病人を診る」という形になっていくことになります。「お医者さん」というお仕事一つだけ挙げてみても、これまでの僕たちの時代の常識とは大きく変わって行くのです。

そんな中、どんな部分が人間として活躍できるのか?その「要」にあたる本質部分が欠如してしまうと。せっかく憧れの「お医者さん」になれたとしても、社会人としては、全く活躍できなくなってしまいます。これまで、人間でなければ担えないと考えられてきた分野に及ぶ、イノベーションの連鎖が、僕たちの社会や生き方そのものを大きく変えてしまうのです。

AIやロボによって、多くの仕事が代替され、人間の負担が経験されていくことが予想される一方で、大量の失業者が生まれるのではないかという議論も文部科学大臣が音頭をとった大臣懇親会の中でも、挙がっていました。

また、かつて人類が経験したことのない速度で技術が発展し、新たな雇用が生み出されるとした場合も。それに対応できるだけの準備が労働者側の方になければ、雇用のミスマッチによって、多くの失業者が生まれてしまいます。技術革新が進むほど、旧来のスキルが陳腐化することにもなる。労働市場の変化スピードの加速につながり。従来の、企業が必要とする労働者を、就職採用後に企業内で養成する、日本型の雇用システムを大きく変容させることにもなります。

一つの企業が産み出したプラットフォームが、世界の業界を牛耳る。プラットフォームビジネスの展開や、クラウドによる情報の分散化、所有と利用の分離が進む。様々な関連するビジネスを巻き込み、拡大していく性質があることから。経済社会における「勝者」と「敗者」その二極化がさらに拡大して行きます。

プラットフォームに占拠された産業は、必ずAIとロボによる「取替の効く駒」に変えられてしまう。従来の「正社員」という概念そのものが、失われて行くことも容易に想定できます。そんな「Society5.0」の時代、どのような教育方針で子どもの育児・教育に立ち向かうのか?なお一層、両親の双肩に左右されてしまう部分が大きくなるのです。

高学歴は必須パーツのひとつ

「学校の勉強ができなければブルーワーカーになればいいや!」従来から現在まで、大学を卒業しなくても、肉体を酷使するお仕事であればある程度のお給料をもらえるものが沢山ありました。けれども、そうした取り替えの効く単純労働系のお仕事は。まさにAIとロボの活躍の主戦場でもありますので。確実にお仕事が無くなっていくか、賃金相場が下がっていくことになるはずです。

「Society5.0」の中で、人間らしく豊かに生きていくためには。高学歴を取れれば豊かになれる保証は無いですが。豊かな生活をするための十分なお給料をもらえるようなお仕事に就くためには。将来の主力企業に就職するためには。必ず必要パーツのひとつとして高学歴が必ず求められるはずです。

高学歴を取るための育児・教育は必須ですが。しかし、それだけでも足りない。その上で、AIやロボによって代替できない人間ならではの営みのために、「人間だからの強み」を武器として持ち合わせる必要があります。「Society5.0」の時代でも活躍し得る学歴以外の必要パーツも揃えておくことが必須になります。

けれども、漠然と「Society5.0」で活躍できる力と言っても。両親自体が、その答えが何なのか?が分からなければ、育児・教育の活動に反映させることはできません。目的地が分からなければ、飛行機に乗れば良いのか?新幹線に乗れば良いのか?車を運転して行くのか?さえ分からないのと同じように。そもそも論で、「Society5.0」に向けて、子どもたちがどんな状態を目指せば良いのか?目的地が決まっていなければ。まともに育児・教育の活動を行うことはできないでしょう。

その時々の、ニュースや情報に一喜一憂しながら。塾や習い事に通わせるだけ。受験勉強させるだけ。そうした、昭和からの延長上のありきたりな「Society3.0」時代の教育方法に落ち着くのが関の山でしょう。「Society5.0」の時代で、子どもたちが活躍するためには?具体的に、「Society5.0」ならではの目的地を明確化させた上で、到達するまでの経路を描くことが、両親として求められることなのです。

「Society5.0」における「大学受験」

「Society5.0」社会の到来。こうした流れを、文部科学省が知らないわけではありません。すでに5年ほど前から、「Society5.0」に向けた具体的な話し合いが開始され。それが徐々に、学校教育の前線にも落ちてきているのがまさに今です。

ここ数年で実際に大きく変わっていくのは「大学受験」のあり方では無いでしょうか?実際に、2年後の受験からは、文系でも「数学」が必修になるのを皮切りに。「文理分断からの脱却」が、急加速して行くことになります。

例えば、高校では、普通科約7割(80万人)専門学科等約3割(30万人)。普通科の中で、文系が約7割(50万人)という状態で。多くの生徒は2年生以降に、文系・理系に分かれ。特定の教科については十分に学習しなくても、大学受験合格を経て高い学歴を取れる受験スタイルになっています。このスタイルそのものが「Society5.0」の前段階である「Society 4.0:情報社会」においても、大きな穴となりました。

米国を中心とした世界企業から、大きく遅れを取る原因になってしまったとして。高校のカリキュラムを「文理」両方を学ぶ人材を育成するよう改める。さらには、日本における最終学歴とも言える、大学でも、「Society5.0」の社会ニーズに合わせた「文理」両方を学ぶ教育プログラムの充実が進みます。

自ずと、大学入学者選抜・・・すなわち「大学受験」では、大学でこのカリキュラムを学ぶ上での学力などを備えていることをしっかりと確認する内容になっているよう全面的に見直される。最低限、「文理両断からの脱却」は確実に条件に入ってくることになります。

つまり、僕たち両親の世代が、「私は文系だから・・・」「オレは理系だから・・・」「うちの子は、 文系・理系どちらかしら・・・」と言った判断そのものが「時代遅れ」となる時代を迎えたのです。今日時点の「大学受験」のイメージで、育児・教育の方針を定めていたとしたら。5年後、10年後に、大学受験を迎える方々は、非常に高い確率で「詰んでしまう」ことが容易に想定されます。

そもそも論で、「何を習わそうかしら・・・」「どこの塾が良いのかな?」などという部分で悩んでいる前に。「Society5.0」の時代に生き抜くための「武器」が何なのか?理解できていなければ、アウトなのです。直近では、「文理分断からの脱却」による環境変化部分を抑えながらも。

中長期においては、子どもの育児・教育に取り組む前に、両親そのものの「Society5.0」でも活躍できる「武器」そのものを育める「育児・教育」方針へと一刻も早期の段階で転換することが求められます。一刻も早い段階から、「Society5.0」から逆算された、「育児・教育」の方針に切り替えていくことを推奨させて頂きます。