帝王学の3原則 – 現代のリーダーが知るべき3つの原則とそれを活かすための資質とは?

  • 2020.09.13
  • 2020.09.10

いわゆる「マネジメント論」「リーダー論」などと呼ばれることもある帝王学ですが、帝王学は語り手のものの捉え方や思想そのものといった側面があるため、「これが帝王学だ!」という決まったものはありません。しかし、そんな語り手の数だけ存在するといっても良い帝王学にも共通する事柄は存在します。

この記事では、帝王学の3つの原則とそこに共通している資質についてお伝えします。

帝王学に原則はあるか?

元々帝王学とは王族や貴族、代々政治家の家系など、人を強くリードし家を維持していく必要のある家系において、後継者となる子どもに施した教育のことです。そのため上でも述べたとおり、その家独自の考え方やルールが反映されている部分が多く、決まった「帝王学」というものは存在しないというのが実情です。

しかし、それらの強いリーダーシップを求める教えにはやはり共通している部分もあります。「帝王学」という語り手の数だけ存在するものの中で、多くの人に何度も触れられている考え方はそれだけ価値や効果が高いということになります。

また、語り手によって表現は異なっても意味するところは同じ、ということも珍しくありません。そういったものを「原則」とし、帝王学を知りたいと思っている人が学ぶことには意義があるでしょう。

帝王学の三原則

帝王学に共通する原則は大きく分けて3つ存在するといわれています。それぞれ重要な示唆を含んでいますので、順番にみていきましょう。

師匠を持つこと

ひとつ目は、物事の原理原則を教えてくれる師匠を持つことです。帝王学を学びたい、と思っている人は長い道のりの途中にいると考えることができます。道のりの途中であれこれ試行錯誤し、「この場合はこうするとうまくいく」という学びを自力で得ることはできますが、それではまだ遭遇したことのない事態に出会うたびに試行錯誤しなくてはなりません。

もちろん、試行錯誤をずっと積み重ねていくというやり方も悪くはありませんが、もっと効率の良い方法があります。それは既にその道をずっと先まで歩き終わった人=師匠に、もっと俯瞰的な目線つまり原理原則を教わる、というものです。

物事の原理原則や「とは?」を知っているのと知らないのとでは大きな違いがあります。経験則のみの積み重ねは個々の経験や知識が紐付きにくく、応用が効きにくいというデメリットがあります。しかし、原理原則を知ることで応用が効くようになり、未知の事柄にも対応することができるようになるのです。

「幕賓」を持つこと

「幕賓」とは、アドバイスをくれる人や良き友人のことを指します。ただし、ただ楽しい時間を共有するだけのような友人は含みません。悩みや重要な問題などを一緒に真摯に考えてくれ、時にはあなたと意見が対立することも恐れずアドバイスをくれるような人こそが「幕賓」だといえます。

ここでポイントとなるのは、自分と同じような考え方やバックグラウンドを持つ人間ばかりで身の回りを固めない、ということです。

人は何かを判断するとき、自分の知識や今までの経験などに大きく影響を受けます。しかし、一人の人間が持てる知識や経験の量には限りがあり、偏っているのが普通です。どんなに優れた人でも、知識や経験に限りがあることと、偏りがあることは避けられません。これを、良い「幕賓」を多く持つことで解決しよう、というのがこの原則です。

諫めてくれる部下を持つこと

「貞観政要」という本をご存知でしょうか。中国の歴史的な書物で、中国史上最も安定した世の中を築いたといわれている皇帝・李世民とその部下たちの間で交わされたやりとりを編集したものです。この本自体が帝王学の教科書と呼ばれることもありますが、この本の中に3つ目の原則である「諫めてくれる部下を持つこと」の象徴的な文章が掲載されています。

指導者は自分が好むものに対して、慎重にならなければいけない。自分が望めば、狩猟に使う鷹も、犬も、名馬も、あるいは自分の好きな音楽も、女性も、ごちそうも、すぐに目の前に揃(そろ)えることができる。(中略) 君主がそれをすれば、自分の顔色をうかがうような部下ばかりになってしまう。もし任用する家臣に賢者がいなければ国家は滅亡してしまうだろう。

「貞観政要」のこの一節は、リーダーや上司である自分に対していわゆる「イエスマン」である部下を人は好んでしまいがちですが、そういう「好み」で部下を選んでしまうと組織が破滅してしまうということを伝えています。上司の間違いを指摘したり、時には耳の痛いことも遠慮なく言ってくれる「賢者」を部下として採用するべきであるということです。

「人の意見を冷静に聞ける」という資質

ここまでご紹介した帝王学の3つの原則には、共通して必要な資質があります。それは「人の意見を冷静に聞ける」という資質です。これには2つの意味があります。

ひとつは、せっかく師匠やアドバイザー、部下から貰った意見を「聞く耳」がなければ意味がないということです。人は、他人から意見されるとつい「わかってない」「知らないからそういうことが言えるんだ」と自分を正当化してしまいがちですが、これではいくら良い友人や部下に恵まれていても意味がありません。もちろん、人にはわからない事情というものもあるとは思いますが、その上で人の意見にも耳を傾けてみるという姿勢は大切です。

もう一つは、人の意見に振り回されすぎないということです。矛盾しているようにも聞こえるかもしれませんが、人の意見を「冷静に」受け止めることと、人の意見を無条件に信じてその通りにするのとは全く違います。人の意見はよく聞き、その後必ず自分で吟味し、どうするべきかを最終的に決めるのは自分であるという意識が必要です。

帝王学を活かすために

曖昧でよくわからないものと思われがちな帝王学ですが、その原則は十分現代のリーダーやマネージャーにも通用するものです。この記事でご紹介した原則と、それを活かすためのポイントを元にぜひ実践してみてはいかがでしょうか。